伝えきれない感謝の気持ちをカタチで伝える。

「素敵な珈琲をありがとうと、ヨウコさんが言っていました。なかなかいいね。大事に飲みたいと思います。」
 兄のダイスケさんから届いたメールに、雄二さんは驚いた。男兄弟というのもあってか、頻繁に連絡を取り合うことはなく、むしろ電話もメールもほとんどしてこない兄との関係。イベントごとに家族で集まることはあるが「元気に過ごしていれば十分」という感覚なので、深い話をすることはあまりなかった。レストランのサービスマンをしていたダイスケさんは、サービスの質にうるさい上、褒めることはほとんどしない。だからこそ、そんなダイスケさんからもらったメールは、雄二さんにはとても意外だった。
  数年前にダイスケさんが結婚することになったとき、雄二さんは義理の姉になるヨウコさんに初めて会った。それ以来会えば話はするものの、お互いに気をつかい合っていた二人。そんな関係でも、ヨウコさんは家事をしに来たりバレンタインにチョコをくれたりと雄二さんを気にかけてくれ、女手のない家庭のなかで母親のような役割をしてくれていた。そんなある日、物語珈琲の存在を知った雄二さん。「何かお礼をしてくれるなら、俺にではなくヨウコにしてほしい」とダイスケさんから言われていたこともあり、珈琲好きなヨウコさんに日頃の感謝を込めてプレゼントすることにした。
たまにお店を借りては、1日限定でカフェを開くヨウコさん。「もったいなくてすぐには飲めない」と言うほど、その珈琲を喜んでくれた。珈琲好きなヨウコさんと雄二さんはその一件が共通の話題になり、自然と話をするようになっていった。
「自分自身、誰かにプレゼントをすることがあまり得意じゃなかったんです。何をあげればいいのかすごく悩みますし。でも渡したことですごく喜んでもらえたので、プレゼントっていいもんだなと思いました。」と話す雄二さん。それからは何かあるたびにヨウコさんとプレゼントを贈り合うようになり、ダイスケさんもそんな二人の様子を嬉しく思っているようだった。
 「お店に売られているものよりも、その人に合わせてつくるものの方が気持ちを伝えられると思う。それに、もらう方が恐縮してしまうような高価すぎるものでもないので、素直に喜んでもらえたんでしょうね。」贈る人への気持ちを伝えてくれるブレンド名も大事なポイント。「普段感じていることをコトバにするのは難しい。ただ、きちんと伝えられなくても、行動に移せばそれ以上に伝わることもあるんですよね」と話す雄二さん。最近ではダイスケさんにも何気ない話や仕事の相談をするようになり、家族の絆を強く感じられるようになったという。
ひとつの物語珈琲は心と心をつなぐかけ橋になり、大切な絆をより深めるきっかけをつくってくれた。

ブレンド名

家族の架け橋

●珈琲チャート

軽やかで柔らかい香味、癖のない明るい香味

苦み
★ ★ 
甘み
★ ★ ★ 
酸味
★ ★ ★ 
コク
★ ★ 
香り
★ ★ ★ 

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